ヴァイオリン:Maximilian Junghanns
ピアノ: Asli Kilic
hr-Sendesaal Frankfurt, 6 April 2020
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンのヴァイオリンソナタイ短調作品23は作曲者4作目のもので、初めての短調ソナタである。
第1番ニ長調、第2番イ長調、第3番変ホ長調と、ヴァイオリンの明るい響きを前面に押し出した作品群の後の激しい曲風である。ただ(小規模な)3楽章作品の形式は未だ守っており、この頃のピアノソナタが4楽章で管弦楽編曲をにらんだものとは事情が異なる。ヴァイオリンソナタはヴァイオリンとピアノとの調和の妙が一つの目的であり、ピアノ即ちオーケストラという作者の考えとは相違がある。この作品では後のクロイツェルソナタと同じ調性でヴァイオリンに演奏簡単なイ短調を選んでいる。次作の陰に隠れがちであるが、短調の雄偉な作品であり注目されて良い。