ベートーベン:ピアノソナタ第21番「ヴァルトシュタイン」 第1楽章

ピアノ演奏:エミール・ギレリス Emil Gilels

第1楽章第1-2楽章第3楽章

 

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンのピアノソナタ第21番ハ長調は、ヴァルトシュタイン(Waldstein)として知られる。(ワルトシュタインとも呼ばれる。)ベートーヴェンの中期のピアノソナタで、「アパショナータ」と並び、ベートーヴェンの中期の作品の中でも最も重要なもののひとつとされる。
ヴァルトシュタインという名は、ベートーヴェンがこの曲をフェルディナント・フォン・ヴァルトシュタイン伯爵(Graf Ferdinand von Waldstein)に献呈したことに由来する。ヴァルトシュタインはベートーヴェンの後援者・理解者のひとりでありヴァルトシュタインに献呈された曲は数多い。しかしこの曲のみがとくにヴァルトシュタインと呼ばれる理由は、おそらくこの曲の独創性や話題性などによるであろう。

 

第1楽章 Allegro con brio
ハ長調 4/4拍子 ソナタ形式
きわめて規模の大きな楽章である。第1主題は打楽器的な和音連打と、そのエコーのような音型が繰り返されるが、開始はト長調と解釈することもできる。エコーの音型による動機操作を元に様々な調を経て、推移部はホ短調となり、第2主題はソナタ形式として異例の長3度上のホ長調で提示され、それはパッセージを多用した第1主題と対照にコラール的である。コラール的な主題は装飾され発展し、16分音符のパッセージとなる。しかし、提示部はホ長調のまま閉じられず、提示部としてさらに異例のハ長調への転調が行われる(普通は元調で閉じられるのは再現部である)。展開部はヘ長調で開始され、第1主題のモティーフによって展開される。後半は長いスパンによって和音が変化し、さらにドミナントペダルが執拗に続いた後に再現部となる。再現部はベートーヴェンらしい遊びの部分も見られ、第2主題はイ長調から元調のハ長調となり、提示部の要領にしたがって今度はヘ長調の偽終始で終結する。ここから第2展開部といえる長大なコーダが続き、両主題が逆の順番で軽く扱われたあと、堂々と終わる。


ピアノソナタ第21番 (ベートーヴェン)
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