ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第29番 作品106「ハンマークラヴィーア」"Hammerklavier"

ピアノ演奏: エミール・ギレリス Emil Gilels
Recorded live in the Grand Hall, Moscow Conservatoire 26 January 1984
Photographs by German-born Timo Stammberger(b. 1980) from his series 'Underground Landscapes'

 

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンのピアノソナタ第29番変ロ長調作品106は彼の書いた4楽章ピアノソナタ(全10曲)の最後となる大曲。《ハンマークラヴィーア "Hammerklavier"》と呼ばれている。ベートーヴェンはシュタイナー社への手紙の中で、作品101以降のピアノソナタに、ピアノフォルテに代わりドイツ語表記でハンマークラヴィーアと記すように指定している。作品106に限ってハンマークラヴィーアと呼ばれることは、ベートーヴェンの意思に反するだろうが、現在ではこの曲の通称として広く親しまれている。後に続く最後の3曲とは対照的に、規模の巨大さが特徴である。演奏は現在でも非常に困難なものとされ、多くのピアニストにとって“壁のような存在”と言われる。

ベートーヴェンのピアノ作品中はもちろん、古今のピアノ作品中未曾有の規模を持つ傑作。ピアノ独奏曲・ソナタとして歴史の一角を為すに相応しい高度で膨大な内容を有し、ピアノの持つ表現能力の可能性を極限まで追求している。その技術的要求があまりに高すぎたため、当時のピアノ及びピアニストには演奏不可能だったと言われる。しかし、ベートーヴェン自身は「50年経てば人も弾く!」と一切の妥協をせず、作品の音楽的価値(芸術性)のために考えうるすべてを駆使した。作曲に対する彼の後期様式を強く示す1曲でもある。ピアノソナタながら4楽章を有し、交響曲にも匹敵するほどの高度な内容と演奏時間(約44分)をもつ。
現実には、作曲後20数年でクララ・シューマンやフランツ・リストがレパートリー化して、各地で演奏した。またブラームスは自身のピアノソナタハ長調の中で第一楽章同士に酷似した開始をさせている。

第1楽章 Allegro 変ロ長調。ソナタ形式。第2主題はト長調。展開部は四声のフーガである。再現部の後に二次展開部を持つ。
第2楽章 Scherzo. Assai vivace 変ロ長調。スケルツォ。終わり近くに2拍子が差し挟まれる。
第3楽章 Adagio sostenuto 嬰ヘ短調。ソナタ形式。20分に及ぶ深遠な楽章。
第4楽章 Largo - Allegro risoluto 変ロ長調。幻想曲風の序奏と、3声のフーガ、コーダからなる。

ピアノソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」 (ベートーヴェン)

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