ベートーヴェン:ピアノソナタ 第23番 ヘ短調 作品57「熱情」 "Appassionata"

ピアノ演奏:ヴィルヘルム ケンプ Wilhelm Kempff
Studio Recording, 1951

第1楽章 第2楽章-第3楽章

 

第2楽章 Andante con moto - attacca 変ニ長調。4分の2拍子。変奏曲形式。
穏やかな主題と、それにかなり忠実な三つの変奏の後、主題が回想され、唐突に強い和音が打ち鳴らされ、切れ目なく次の楽章に進む。主題の変奏は巧妙で変奏を感じさせない流麗さで演じられる。

第3楽章 Allegro, ma non troppo - Presto ヘ短調。4分の2拍子。ソナタ形式。
熱情の奔流と呼ぶにふさわしい旋律が吹き荒れる。後半はまったく新しいリズムを持つ旋律が現れ、プレストに加速して激情の中で全曲を終える。Allegro ma non troppo(発想記号)の解釈がコーダPrestoの効果を左右する。暗い情熱的な主題をこの発想で演じるので不当に急激な速度にならず、最後のPrestoに向けて準備しなければならない。作曲者がAllegroという外国語を忌み嫌って、後年自国語に直して表記する理由の一端が表れている。

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