ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57「熱情」 "Appassionata"

ピアノ演奏:クラウディオ・アラウ Claudio Arrau

  

ベートーヴェンのピアノソナタ第23番ヘ短調作品57は、ベートーヴェンの作曲した23番目の番号付きピアノソナタである。「熱情(アパショナータ)」として有名で、ベートーヴェンの三大ピアノソナタの1つに数えられる。ベートーヴェン中期の最高傑作のひとつとして名高い。
ベートーヴェンの全作品中においても、燃えるような激しい感情と寸分の隙もない音楽的構成の一致から、最高傑作の中のひとつに数えられており、最も重要な作品のひとつとされる。
この曲は終楽章を短調で締めくくるものとしてはベートーヴェンのピアノソナタ中最後の一曲であり、この曲の完成以後、彼は四年もの間ピアノソナタを書かず、再着手後もついにこのような激情をあらわにした曲を作ることはなかった(この曲の後に書かれた短調のピアノソナタは第27番ホ短調と第32番ハ短調があるが、いずれも終楽章は長調で喜ばしく終止している)。このことから、第23番はベートーヴェンの闘争的な曲想のピークであり、かつ最終到達点と見なすことができる。

第1楽章 Allegro Assai ヘ短調。8分の12拍子。ソナタ形式。
「熱情」と通称されているが、8分の12拍子である。4拍子系の穏やかな舟歌に現れるリズムであり、作曲者がAllegro assaiについて決して「非常に速く、快活に」と考えていなかったことが伺える。 演奏の間の取り方、後半に弾くべき跳躍やクロマチックの捉え方など単純に譜面を読むのではない感覚が演奏者に求められている。 主題は5対1の鋭い付点リズムであり、いわゆる「運命」の動機と対になって繰り返される。

第2楽章 Andante con moto - attacca 変ニ長調。4分の2拍子。変奏曲形式。穏やかな主題と、それにかなり忠実な三つの変奏の後、主題が回想され、唐突に強い減七の和音が打ち鳴らされ、切れ目なく次の楽章に進む。主題の変奏は巧妙で変奏を感じさせない流麗さで演じられる。

第3楽章 Allegro ma non troppo - Presto ヘ短調。4分の2拍子。ソナタ形式。熱情の奔流と呼ぶにふさわしい旋律が吹き荒れる。後半はまったく新しいリズムを持つ旋律が現れ、プレストに加速して激情の中で全曲を終える。

ピアノソナタ第23番「熱情」 (ベートーヴェン)

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