ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第17番 ニ短調 作品31-2 「テンペスト」"Tempest"

ピアノ演奏: ルドルフ・ブッフビンダー Rudolf Buchbinder

ピアノソナタ第17番 ニ短調 作品31-2は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが作曲したピアノソナタ。『テンペスト』の通称で知られる。
 
『テンペスト』という通称は、弟子のアントン・シンドラーがこの曲と第23番(熱情)の解釈について尋ねたとき、ベートーヴェンが「シェイクスピアの『テンペスト』を読め」と言ったとされることに由来している。しかし、ドナルド・フランシス・トーヴィーはこの曲の中に戯曲の登場人物を見出そうとする試みは「英雄やハ短調交響曲(運命)が演奏されているときに、『紅はこべ』の功績のみに目を向けているようなものだ」と記している。
第1楽章 Largo-Allegroニ短調。ソナタ形式。
ラルゴ-アレグロを主体としながらもテンポ表示は頻繁に変わる。全体は3つの部分からなる。再現部の前の朗詠調のレシタチーヴォ、刻々と変わる発想記号などは朗読劇を聞いているようで、中期作曲者の劇的な作風の典型である。終結も陰鬱な低音が静かに現れるだけである。演者が(幕が下り)静かに立ち去る様子を模写しているように映る。
 
第2楽章 Adagio変ロ長調。展開部を欠くソナタ形式。
第1楽章との間にも緊密な関連がある。
 
第3楽章 Allegrettoニ短調。ソナタ形式。
単純な音型を休みなく繰り返すが、単に激しい速さで演奏するものでないだけにAllegrettoの記号が不気味さを演出している。もとは馬車の走行から採譜したものといわれている。

ピアノソナタ第17番「テンペスト」 (ベートーヴェン)

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