ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 作品58

指揮: ハンス・クナッパーツブッシュ (74歳) Hans Knappertsbusch
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 Wiener Philharmoniker
ピアノ演奏:ヴィルヘルム・バックハウス (78歳) Wilhelm Backhaus
演奏ピアノ:ベーゼンドルファー Bösendorfer
Recorded at the Theater an der Wien アン・デア・ウィーン劇場, Vienna, 31 May 1962.

バックハウスが最も好きだった曲は、ベートーヴェン作曲のピアノ協奏曲第4番であった。この曲の第1楽章の出だしの部分は特に思い入れがあったようで、1967年4月(亡くなる2年前)のインタビューで、「私は愛して止まない曲のこの部分を今まで毎日練習し続けてきたが、未だに完全に満足できたことがない」と述べている。

指揮者クナッパーツブッシュは、ヴィルヘルム・バックハウスとのベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番などコンチェルトの伴奏も映像として残されているが、こちらは眼鏡を掛けて総譜を絶えず見ながら、より控えめにそして極めて真面目に振っている。コンチェルトの指揮に関しては、残された録音ではしばしばソリストとオケのテンポ等がずれてしまっているため、クナッパーツブッシュはソリストに合わせようという気がないのではないかという説もあったが、この映像を観る限りそれは完全な誤りであることが分かる。


ピアノ協奏曲第4番ト長調作品58は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが1806年に作曲したピアノ協奏曲。ベートーヴェンのピアノ協奏曲といえば第5番『皇帝』が最も有名であるが、この第4番においても様々な革新的な手法が盛り込まれており、注目に値する。
第1楽章の主題は同時期の交響曲第5番「運命」と同様、同音連打のメロディが優雅である。
また、ピアノ協奏曲(Klavierkonzert)として、独奏楽器のみで開始される冒頭は、それまでに非常に数少なかった形式である。

第1楽章 Allegro moderato ト長調 4/4拍子 協奏的ソナタ形式
前述のように「運命の動機」を含む穏やかな主題がピアノ独奏でいきなり奏されると、オーケストラはロ長調によりそれに応え、新鮮な印象を受ける。

第2楽章 Andante con moto ホ短調 2/2拍子
自由な形式。オーケストラが弦のユニゾンになり、ピアノが即興的で瞑想的な音楽を歌う中、淡々と語られていく。

第3楽章 Rondo Vivace ト長調 2/4拍子
ロンド形式。ト長調であるが、主題はハ長調に始められる。 カデンツァはベートーヴェン自身により1種類書かれ、35小節ある。

ピアノ協奏曲第4番 (ベートーヴェン)

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