ベートーヴェン:4手のための大フーガ 作品134 変ロ長調

arranged by the composer himself
ピアノ演奏: Kota Duo - karolina pancernaite & Kristina Yorgova
the RCS Piano Festival 2020, Ledger Recital Room.

《大フーガ》(独:Grose Fuge)変ロ長調 作品133は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが作曲した弦楽四重奏曲である。

本作は演奏者に対する極度の技術的な要求だけでなく、極めて内省的な性格によっても有名で、後期作品の基準にさえなっている。ベートーヴェンが完全に聴覚を失った1825年から1826年にかけて作曲された。元来この巨大なフーガは、《弦楽四重奏曲第13番》の終楽章として作曲された。《第13番》が初演された後、2つの楽章がアンコールに応じて演奏されたが、当時終楽章であったこのフーガは取り上げられなかった。ベートーヴェンは納得できず「どうしてフーガじゃないんだ?」と噛み付き、聞くに堪えない悪口を並べたという。しかし、このフーガが当時の演奏家にとってはあまりに要求が高く、聴衆にも理解できず不人気であったため、ベートーヴェンは出版者にせがまれて新たなフィナーレを作曲し、このフーガを単品として独立させた。ベートーヴェンは強情な人柄や、聴衆の意見や趣味に無関心なことで有名であったが、このときは出版者の要望に折り合った。フーガと取り替えるために書き下ろされたフィナーレは、性格においてフーガよりも軽く、《第13番》の他の楽章にもしっくりした。

19世紀から長い間、《大フーガ》は失敗作と見なされていた。ルイ・シュポーアは、ベートーヴェンの他の後期作品と併せて「わけのわからない、取り返しのつかない恐怖」と怯え、ダニエル・グレゴリー・メイソンは「人好きのしない」曲であるとした。19世紀末の歌曲の大家フーゴー・ヴォルフでさえ、この曲を含むベートーヴェンの晩年の弦楽四重奏曲を「中国語のように不可解である」と評している。しかしながら20世紀初頭ごろから次第に評価は好転し始め、現在ではベートーベンの偉大な業績の一つとみなされている。イーゴリ・ストラヴィンスキーは、「絶対的に現代的な楽曲。永久に現代的な楽曲」と述べている。今日では普通に演奏・録音されるようになっており、録音では第13番の後に大フーガが併録されていることが多い。

大フーガ (ベートーヴェン) (Wikipedia)

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