指揮:パーヴォ・ヤルヴィ Paavo Jarvi
hr-Sinfonieorchester (Frankfurt Radio Symphony Orchestra)
Nicholas Angelich, Klavier / Gil Shaham, Violine / Anne Gastinel, Violoncello
Alte Oper Frankfurt, 6. Marz 2015
ピアノ、ヴァイオリン、チェロと管弦楽のための協奏曲 ハ長調(Konzert fur Klavier, Violine, Violoncello und Orchester C-dur )作品56は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが1803年から1804年にかけて作曲した楽曲。通常は三重協奏曲と略して呼ばれる。
ヴァイオリンソナタ第9番『クロイツェル』、ピアノソナタ第21番『ワルトシュタイン』、ピアノソナタ第23番『熱情』、交響曲第3番『英雄』などが書かれた時期の作品であるが、今日ではあまり評価が高くない。ピアノ三重奏を独奏楽器として管弦楽と対置するという発想は意欲的なものであったが、ベートーヴェンはそれを十分に処理しきれずに終わった、というのが一般的な評価である。このように作品自体が凡作と見なされている上に、独奏者を3人も必要とすることから、演奏の機会は非常に少ない。とはいえ、あくまでベートーヴェンの中期の作品との比較で見劣りがするということであり、古典派協奏曲の様式に則った充実した作品である。なお、当時チェロを伴った協奏曲はほとんどなく、ベートーヴェンの師匠であるハイドンが残した第1番と第2番のチェロ協奏曲が見られるくらいで、ベートーヴェン自身もチェロ単独で独奏楽器とした楽曲を残していない。本作はベートーヴェンが残した唯一の、チェロを伴った協奏曲である。
このような特異な協奏曲を作曲した経緯については不明であるが、ピアノのパートが演出面では極めて効果的でありながら技術面では比較的易しく書かれているのは、弟子のアントン・シンドラーが伝えるところによると、ベートーヴェンのパトロンであったルドルフ大公による演奏を想定してのことであるという。一方で、チェロにとっては重音奏法や急速な分散和音や音階などを要求される難曲である。
初演は1808年の復活祭以前にライプツィヒで行われ、同年5月にはウィーン初演がイグナツ・シュパンツィヒのヴァイオリン他によって行われた。出版はそれに先立って1807年に行われた。
独奏楽器群がピアノ三重奏的な役割を果たしているので、通常の協奏曲のようなカデンツァはない。
楽器編成
独奏ピアノ、独奏ヴァイオリン、独奏チェロ
フルート、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦五部
楽曲構成
3つの楽章からなり、第2楽章と第3楽章は続けて演奏される。演奏時間は約35分。
第1楽章 アレグロ
第2楽章 ラルゴ
第3楽章 ロンド・アラ・ポラッカ