ベートーヴェン: レオノーレ序曲 第3番

指揮: ブルーノ・ワルター Bruno Walter 1941

 

レオノーレ序曲第3番 作品72bは、ベートーヴェンが1806年の初頭に作曲した序曲である。

歌劇《レオノーレ》(フィデリオ)の改訂上演(いわゆる第2版)のために、その序曲としてレオノーレ序曲第2番を改作する形で作曲されたものである。初演はオペラの上演と同時に1806年3月29日、アン・デア・ウィーン劇場にて、イグナーツ・フォン・ザイフリート(Ignaz Xaver Ritter von Seyfried)の指揮によって行われた。
《フィデリオ》にはこの楽曲の前に1曲、後に2曲の序曲が書かれており(フィデリオ序曲を参照)、単独で演奏される機会はこの「レオノーレ序曲第3番」が最も多い。グスタフ・マーラーが始めたと言われる習慣として、《フィデリオ》上演の際、第2幕第2場の前にこの序曲が挿入されることがある。

ハ長調、序奏を持つソナタ形式。演奏時間は13分前後。
アダージョ、3/4拍子の序奏はG音の強奏で始まり、様々な調をさまよう。途中、木管に変イ長調の旋律が現れるが、これはオペラ第2幕冒頭のフロレスタンのアリア「人生の春の日に」("In des Lebens Fruhlingstagen")の一節である。
主部はアレグロ、2/2拍子で、弦がシンコペーションを用いた第一主題を奏して始まる。ホルンに導かれる第二主題はホ長調に始まり、これも調的には安定しない。展開部は劇的な展開を見せ、途中で現れるトランペットのファンファーレが印象的である。 再現部は、演奏の難しさで有名なフルートのソロで第一主題が再現されて始まる。提示部通りの再現が続いたあと、第二主題の動機を用いながら静まっていくが、弦楽のパッセージがプレストのコーダを導き、熱狂的に結ばれる。

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