ヴィヴァルディ:合奏協奏曲集「調和の幻想」作品3 から ヴァイオリン協奏曲 第6番 イ短調 RV 356

指揮:Horst Sohm
Orchestre de Chambre Francais (Paris)
ヴァイオリン:Andre Rebacz

Allegro (00:00) - Largo (02:55) - Presto (04:57)

『調和の霊感』(L'estro Armonico)作品3は、アントニオ・ヴィヴァルディが作曲した全12曲からなる協奏曲集。1711年にアムステルダムのエティエンヌ・ロジェ(英語版)より出版された。トスカーナ大公子フェルディナンド・デ・メディチに献呈されている。ヴィヴァルディの協奏曲のうちで最初に出版された。

この協奏曲集はヴィヴァルディの様々な意図がある。例えば、曲の配列においても、長調→短調→長調……となるような工夫がなされている。但し、長調でこの曲集を完結させるという意図があり、第10・11・12番は短調→短調→長調となっている。

独奏楽器はヴァイオリン4台のもの、ヴァイオリン2台のもの、ヴァイオリン独奏のものがそれぞれ4曲ずつある。チェロは独奏に加わることもあるが、多くは通奏低音と同じ旋律を演奏する。ヴァイオリン4部、ヴィオラ(楽譜の上では2部に分かれているが実際には異なる音を演奏することは少ない)、チェロ、通奏低音からなる伝統的な協奏曲の編成を使用しているが、もはやコレッリのもののように独奏楽器はトリオ・ソナタの形式をしていない。

ヴィヴァルディはソロ楽器の技巧的な楽想とリトルネロの対比による急・緩・急の3楽章からなる協奏曲で有名であるが、作品3は初期の作品であり、新旧様式が混在している。

同様の様式を持つ協奏曲にはすでにジュゼッペ・トレッリの合奏協奏曲集作品8(1709年)や、ジュゼッペ・ヴァレンティーニの合奏協奏曲集作品7(1710年)があるが、ヴィヴァルディの作品3およびそれに続く協奏曲集はオランダのロジェから出版されたために国際的な名声を得、テレマン、ハイニヒェン、バッハらがヴィヴァルディの様式を採用した。

第6番 イ短調 ヴァイオリン協奏曲。3楽章形式。
この曲はコンチェルト・グロッソへと発展した古典的な独奏楽器と合奏のための協奏曲の中で最も古い。この曲は少し難しく編曲されて、主要ヴァイオリン学習教本に載っており、特に一楽章はヴァイオリンを学ぶ上で重要な曲目となっている。

第1楽章-Allegro リトルネッロ主題は3つの動機よりなる。全体的にイ短調が支配的であり、転調はあまり行われていないと言ってよい。
第2楽章-Largo 14小節のカンタービレ。前半、後半の2部に別分かれ、後半は前半の自由な変奏の形式をとる。
第3楽章-Presto トゥッティ楽節はホ短調-イ短調-ハ長調-イ長調の調性で再現される。終結部付近ではソロとトゥッティの交代が頻繁に行われる。

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