パレストリーナ: 教皇マルチェルスのミサ曲 Missa Papae Marcelli

指揮:ハンス=クリフトフ・ラーデマン Hans-Christoph Rademann
ドレスデン室内合唱団 Dresdner Kammerchor
BRIXNER INITIATIVE MUSIK UND KIRCHE 29.05.2021 Dom zu Brixen(ブリクセン大聖堂)

教皇マルチェルスのミサ曲(Missa Papae Marcelli)は、ジョヴァンニ・ダ・パレストリーナが作曲したミサ曲。
多くのミサ曲と同様に、キリエ、グローリア、クレド、サンクトゥス/ベネディクトゥス、及びアニュス・デイで形成される6声体の合唱曲(アニュス・デイ第2部はSSAATBBの7声部)。ジョセフォ・ザルリノはこの曲を16世紀の典型的な声部進行による作品と評しているが、これはパレストリーナだけに限った問題ではない。トレント公会議によってつくられた厳しい制約をパスした代表作と信じられている。しかし、パレストリーナ本人だけがそのような作曲意図を持ったのではない。作曲経緯は不明瞭だが、今日まで数多くの合唱団によって歌い継がれている名作の一つであることは疑いが無い。
かつてピリオド唱法が存在していなかった時代、モダンと同じように修正した平均律で不気味に響き、そのレヴェルで音盤化がなされていたが、2010年代の今日では当時の唱法を可能な限り参照し、非常にクリアなピタゴラス音律を響かせる団体の方が多い。ただし、音律が問題となるのは、鍵盤楽器など、各音の調律が厳密に維持される楽器においてであって、しばしば50セント以上のピッチの揺れが生じる人声による合唱においては、特定の音律を維持することは不可能であり、音律の議論は無意味とする見解もある。

inserted by FC2 system