ヘンデル:「調子のよいかじや」 The Harmonious Blacksmith 

ピアノ:フィリップ・アントルモン Philippe Entremont

『調子の良い鍛冶屋』(英語:The Harmonious Blacksmith)は、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルの『ハープシコード組曲第1集』第5番 ホ長調 HWV.430 の終曲「エアと変奏」に付けられた通称。楽曲は、イングランド伝統のディヴィジョン様式で構成され、エアに続いて5つのドゥーブルが連なり、変奏の度ごとに旋律もしくは伴奏の音価が細分化されてゆく。すなわち、右手に16分音符が連鎖する第1変奏、16分音符の動きが左手に移る第2変奏、16分音符の三連符が右手に現れる第3変奏(第4変奏は同じ音型が左手に移動)、32分音符が両手に交互に現れる最終変奏、といった工合である。

日本では、「調子の良い鍛冶屋」という訳語が定着しているが、これでは「お調子者の鍛冶屋」という誤解を招きかねないため、新たに「愉快な鍛冶屋」という訳語も使われつつある(以下の本文においては「愉快な鍛冶屋」を用いる)。
また、鍛冶屋のハンマーの音はしばしばよく響くところから、軽快にハンマーを叩く「よく響く鍛冶屋」とも解釈できる。

『ハープシコード組曲第1集』第5番 ホ長調 HWV.430
ハープシコード組曲第1集(出版1720年)の8曲中の第5曲。下記の4楽章からなる。
Praeludium(前奏曲)
Allemande(アルマンド)
Courante(クーラント)
Air with 5 variations(エアと変奏)?通称「調子の良い鍛冶屋」The Harmonious Blacksmith

1720年の「8つの組曲」
ヘンデルは、1720年に、8曲からなる最初のハープシコード組曲を出版し、次のような序文を寄せた。

『以下の「レッスン」を出版することができたのは、それらの不正な海賊出版が横行したお蔭である。この曲集がもっと重宝して、好ましい反応を得られるように、新たな版ではいくつかの新曲を付け加えた。今後とも版を重ねて参りたい。寛大な庇護を与えてくださる皆さんのお役に立てることこそが、非才なる小生の務めと観ぜられた次第である。』-- 1720年版へのヘンデルの緒言

通称
なぜ「愉快な鍛冶屋」という通称が付いたのか、また誰がそう呼び始めたのかに関しては、数々の説明がなされてきた。この呼び名は、ヘンデルが付けたのではないし、この変奏曲が単独で有名になる19世紀初頭までは、記録にも現れない(死後もイングランドではヘンデルの作品がずっと有名だったとしても、この曲だけはとびぬけて有名だったということは特筆すべきであろう)。

Wikipedia

inserted by FC2 system