ニコラ・シェドヴィル:フルート・ソナタ "il Pastor Fido"「忠実なる羊飼い」作品13 第6番

フルート: ジャン=ピエール・ランパル Jean-Pierre Rampal
チェンバロ: ロベール・ヴェイロン=ラクロワ Robert Veyron-Lacroix

忠実な羊飼い 「作品13」(Il pastor fido, 'Op.13')は、ニコラ・シェドヴィル作曲による6曲のソナタ集。1737年にフランス・パリの出版社からアントニオ・ヴィヴァルディの作品13として出版された。永くヴィヴァルディの真作とされてきたが、20世紀後半になってからシェドヴィル作と判明した。

この曲集は1737年に、フランス、パリの楽譜出版社マダム・ボワヴァンから出版され、初版の表紙には「忠実な羊飼い、ミュゼット、ヴィェル(ハーディ・ガーディ)、フルート(フラウト・トラヴェルソとリコーダーの両方を含む)、オーボエ、ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ、アントニオ・ヴィヴァルディ師の作品13…」 ( IL PASTOR FIDO, | Sonates, | POUR | La Musette, Viele, Flute, Hautbois, Violon, | Avec la Basse Continue. | DEL SIG.R | ANTONIO VIVALDI. | Opera XIII... ) と記されている。

巻末の出版許可状の抜粋には、シェドヴィルの親戚で有名な音楽教師だったジャン=ノエル・マルシャン(1700-1756、同名の異母兄弟の弟)の名が出版責任者として記されており、さらにヴィヴァルディの作品13及び作品14、アルビノーニの作品10、ヴァレンティーニの作品10を発行する意図があることがマルシャンのイニシャルJ.N.M.M.M(音楽師範ジャン・ノエル・マルシャン [Jean-Noel Marchand, Maitre de musique] の略)とともに述べられている。この特許状はマルシャンが1737年3月21日に取得したもので、シェドヴィルは特許状を得るためにマルシャンに名義借りを行っていたことになる。マルシャンとシェドヴィルは、特許状に述べた作品のうち、ヴィヴァルディの「作品13」と、ヴァレンティーニの「作品10」のみを出版している。

Wikipedia

フルート・ソナタ 第6番 解説

6番・ト短調のソナタ(Sonata No.6 In G minor)はプロ奏者もよく取り上げてきた人気の作品です。しかし演奏は「6曲中、突出して難しい」。ことに第4楽章は難しいのですが、これは偽作者・シェドヴィーユが真作を装うためにヴィヴァルディーのヴァイオリン協奏曲(作品4-6)を下敷きに書き直したものだそうで、さすがに音楽としては魅力があります。
 曲は4楽章から成っています。 フランスの作曲家 ニコラ・シェドヴィル(Nicolas Chedeville, 1705年2月20日 - 1782年8月6日)は、1737年、ジャン=ノエル・マルシャンと組んで曲集を出版するが、それには「アントニオ・ヴィヴァルディ作曲『忠実な羊飼い(Il pastor Fido)』Op.13」というタイトルがついていた。シェドヴィルはその出版で利益を得たが、1749年、マルシャンによる公正証書で偽作と証明された。
ミュゼットのための作品がなかった偉大な作曲家の名を利用して、ミュゼットを流行らせることが目的だったのかもしれない。

● 第1楽章:ヴィヴァーチェ Vivace (生き生きと)
で、踊りの曲のような感じ。田園ふうの素朴さと洗練が共存し、しかも濃厚な情緒をたたえた、ふしぎな魅力のある名品です。
● 第2楽章:アラ・ブレーヴェ(2拍子で)
のフーガ。第4楽章のモチーフとの関連を感じさせる印象的なテーマ、がっちりした力強い展開で、シェドヴィーユが立派な腕前を持つ作曲家だったことがよくわかります。
● 第3楽章:ラルゴ Largo(ゆるやかに)
と指定されたシチリアーノふうの曲で、和声に工夫があって美しい。
● 第4楽章:アレグロ・マ・ノン・プレスト Allegro ma non presto(快活に、しかし速くないテンポで)と記された爽快な音楽。下敷きにしたというヴィヴァルディーの協奏曲楽章がすでにそうであったのかどうか、「反復進行」による表現が随所にみられるのが特徴で、ちょっとワンパターンか?と思うほどですが、しかしイヤでも耳に残る魅力を持つことは否定できません。音楽は歯切れがよくリズム感も新鮮で多彩、たいへん楽しくできています。

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