J.S.バッハ: フーガの技法 Die Kunst der Fuge BWV 1080

ピアノ:エロイーズ・ベラ・コーン Eloise Bella Kohn

CD 1:
01. Contrapunctus I 0:00
02. Contrapunctus II 3:03
03. Contrapunctus III 6:06
04. Contrapunctus IV 8:46
05. Contrapunctus V 12:38
06. Contrapunctus VI a 4 in stylo francese 15:54
07. Contrapunctus VII a 4 per augmentationem et diminutionem 21:15
08. Contrapunctus VIII a 3 25:20
09. Contrapunctus IX a 4 alla duodecima 31:00
10. Contrapunctus X a 4 alla decima 34:11
CD 2:
01. Contrapunctus XI a 4 38:37
02. Contrapunctus XIIa a 4 in forma rectus 45:12
03. Contrapunctus inversus XII a 4 48:30
04. Contrapunctus XIII a 3 51:53
05. Contrapunctus inversus XIII a 3 54:14
06. Canon alla ottava 56:40
07. Canon alla decima 59:15
08. Canon alla duodecima 1:04:13
09. Canon per Augmentationem in contrario motu 1:06:42
10. Contrapunctus XIV “Fuga a 3 soggetti” [Completed T. Escaich] 1:11:06

『フーガの技法』(独: Die Kunst der Fuge、英: The Art of Fugue)ニ短調 BWV1080は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハによる音楽作品。
経緯
1740年代前半に作曲が開始され、J.S.バッハ最晩年となる1740年代後半に作曲と並行して出版が準備されたが、その途中で作曲者自身の視力が急激に低下してしまい、一般に「コントラプンクトゥスXIV」とされる作品(3つの主題による4声のフーガ)が未完成の段階で作曲が中断されてしまった。何人かの音楽学者によって、最初の12曲が1742年にチェンバロ独奏を想定して作曲されたことが判明しているが、残りのフーガを書き始めた経緯は今もなお不明である。曲集はバッハの死後、未完成のまま出版された。

現行の多くの版には、様々な様式・技法による14曲のフーガと4曲のカノンが収録されている。彼は卓越した対位法の技術を駆使し、単純な主題を入念に組み合わせることによって究極の構築性を具現化した。
『フーガの技法』は、作品固有の緊密な構築性と内在する創造性によって、クラシック音楽の最高傑作の1つに数えられている

音楽
『フーガの技法』の初版は、バッハの時代に一般的に使用された鍵盤楽器で演奏できるように作曲されていながら、オープンスコアで書かれており、しかも楽器指定がなされていない。これは当時の対位法的鍵盤作品にしばしば見られる形態であり、鍵盤以外の楽器で演奏されても良い旨を明言している作曲家もいた。またバッハの『オルガン協奏曲』やBVW972-987の諸作のように、逆に協奏曲などを鍵盤用に編曲して演奏することもしばしばあった。こうしたことからバッハは、鍵盤独奏で演奏可能な『フーガの技法』について、いくつかの楽器の組み合わせによる演奏を容認していた可能性がある。一方でグスタフ・レオンハルトは、この曲がチェンバロのために作曲されたと主張し、他の楽器で演奏されることに否定的な見解を示している。

『音楽の捧げもの』と同様に曲集は一つの主要主題で統一されており、未完成の最終フーガを除く全曲は、装飾・変形されたり上下転回(英語版)された主題をもとに書かれている。最終フーガの主題については、単純化された主題にすぎないとする説もある一方で、まったく別の主題であるとする説もある。一部の学者及び演奏家は後者の説に従い、未完成の最終フーガはフーガの技法とは別の、独立した作品であるとしている。

初版曲集が未完成となったことについては、上記のほかにも研究者によって様々な説が出された。本当はもっと早くに完成していたが譜面が紛失したという説や、未完成のフーガは『フーガの技法』に含まれず、他の曲をもって曲集は完成していたという説もある。さらには、バッハのチェンバロ曲の多くが3の倍数組で構成されていることから、最初に完成した12曲の後に、もう一組の12曲を完成させる意向であったという推測もなされている。長年、これらの説を裏付けるような楽譜や資料は発見されていなかったが、近年の研究では、バッハがこの作品の出版について問い合わせた文献が残っており、少なくともこの作品を完成させる意図はあったこと、完成した曲はすでに校正願いを出していたこと、そして恐らく絶筆ではなかったことが指摘されている。
図らずも未完となってしまった曲集はバッハの意思を汲み出版されたが、わずか30部足らずほどしか売れず、同時代の評判はあって無きが如しであった。とはいえ一部の愛好家には次第に受け入れられ、1800年代以降の筆写譜が少なからず残されており、さらに1838年にはチェルニー校訂によるピアノ譜が出版された。この曲集が演奏家にクローズアップされるようになったのは、19世紀後半以降にサン=サーンスなどの優れたピアニストがピアノで演奏することが広まってからであった。

原典:1740年代前半に書かれたとされる自筆譜(いわゆるベルリン自筆譜)と、出版譜がある。
自筆譜では15曲が1冊にまとめられている。最初の数曲は整然とした書体で書かれており、浄書譜のように思われるが、次第に書体は乱雑となり、多くの修正が書き込まれている。自筆譜に含まれるのは以下の各曲である(括弧内は初版でのタイトル)。
I.(コントラプンクトゥスI)
II.(コントラプンクトゥスIII)
III.(コントラプンクトゥスII)
IV.(コントラプンクトゥスV)
V.(コントラプンクトゥスIX)
VI.(コントラプンクトゥスX)
VII.(コントラプンクトゥスVI)
VIII.(コントラプンクトゥスVII)
IX.(8度のカノン)
X.(コントラプンクトゥスVIII)
XI.(コントラプンクトゥスXI)
XII.(拡大及び反行形によるカノンの初期稿)
XIII.(コントラプンクトゥスXII)
XIV.(コントラプンクトゥスXIII)
XV.(XIIの発展稿)
またこれら以外に個々に伝えられた自筆譜として、拡大及び反行形によるカノン(初版の版下原稿)、XIVの編曲および未完成のフーガがある。

出版譜には、1751年(バッハの死の翌年)に出版された初版と、1752年に出版された第2版がある。様々な対位法の技法が用いられ、それらは後の研究者によって「単純」、「反行」、「拡大および縮小」、「多重フーガ」(「フーガ」および対位法の項を参照のこと)などに大別された。曲全体を上下転回しても演奏可能であるように書かれた、「鏡像フーガ」という珍しい様式も見られる。
出版譜では、対位法の技法の種類ごとに曲が配列されている。また、個々の曲は"Contrapunctus"(対位)もしくは"Canon"と名づけられている。

Wikipedia

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