バッハのロ短調ミサへ転用
1. Gloria in Excelsis Deo (Coro) いと高きところには神に栄光あれ
2. Gloria Patri et Filio (Duetto)
3. Sicut erat in principio (Coro)
『天のいと高きところには神に栄光あれ』(Gloria in excelsis Deo)BWV191は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハが1743-1746年頃のクリスマス初日の礼拝で初演したラテン語教会音楽。旧バッハ全集では教会カンタータに分類し、それを踏襲したバッハ作品主題目録番号や新バッハ全集でも教会カンタータに分類している。しかしハンス・ヨアヒム・シュルツェとクリストフ・ヴォルフが20世紀末に編纂した「バッハ便覧」では、初めて教会カンタータとは別の「ラテン語教会音楽」の項目に移された。
合唱5部・トランペット3・ティンパニ・フルート2・弦楽器・通奏低音、前半3/8拍子・後半4/4拍子、ニ長調
ロ短調ミサ曲の第4・5曲「天のいと高きところには神に栄光あれ」(Gloria in excelsis Deo)を移したもので、オーボエとファゴットを抜いている。ティンパニをともなう3本のトランペットをともなう華やかな前奏に続き、合唱のポリフォニーが続く。100小節目で穏やかな曲調に変わり、地の平和への祈りと現状への諦観をフーガで紡いでいく。クライマックスでは、曲調の変化と同時に鳴り止んだトランペットもフーガに加わり、厳粛に締めくくる。
第2曲 二重唱「父と子と聖霊に栄光あれ」(Gloria Patri et Filio et Spiritui sancto)
合唱5部・トランペット3・ティンパニ・フルート2・オーボエ2・弦楽器・通奏低音、3/4拍子、ニ長調
原曲の第12曲「聖霊とともに」(Com Sancto Spiritu)のリズム・パターンを変更したもの。特に冒頭は、詩のリズム・パターンがまったく違うため、原曲を聞きなれた聴衆には強い違和感を覚えるほど改編されている。三位一体頌の後半、時間を超越した永遠の栄光を讃美する詩を2回のフーガとその前後に挿入したホモフォニー部分で反復する。フーガの進行とともに器楽の重なりも厚くなり、イン・テンポのまま重厚なアーメン頌を響かせて締めくくる。