バッハ:カンタータ 第56番 「われ 喜びて十字架を背負わん」"Ich will den Kreuzstab gerne tragen"

指揮:カール・リヒター Karl Richter
バリトン:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ Dietrich Fischer-Dieskau

第1曲 アリア 第2曲 レチタティーヴォ 第3曲 アリア 第4曲 レチタティーヴォ 第5曲 コラール

 

『われは喜びて十字架を負わん』(Ich will den Kreuzstab gerne tragen)BWV56は、バッハが1726年10月27日の三位一体節後第19日曜日のために作曲した教会カンタータ。全5曲からなり、82番とともにバスの独唱カンタータとして重視され、多くのバスやバリトン歌手が歌ってきた曲である。

第1曲 アリア『われは喜びて十字架を負わん』(Ich will den Kreuzstab gerne tragen)
バス・オーボエ2・オーボエ・ダ・カッチャ・弦楽器・通奏低音、ト短調、3/4拍子
ト短調のスコア(18小節)には、第5線にシャープ(Kreuz)が1つ記されている。バスのメロディの先駆けとなる伴奏は、5つの上昇音でこのシャープを目指すが、到達するや力尽きてよろめきつつ下降する。バスも伴奏をトレースして、十字架を背負うために五線譜を登り、やはりスラーをともなってよろめく「溜め息のモティーフ」で下っていく。神から渡された試練として、長大な溜め息のモティーフを保持したまま、序盤の歩みを保ち続ける。その試練は神の御国へ導かれるためにあると悟る中盤は、力強い同音保持や明るい和音が各所に聞かれる。終盤は急に三連符へと変化する。そこでは悲しみから解放され、救い主自ら涙を拭う至福の時の夢が明るく歌われる。しかしその時はまだ訪れず、現世の苦難がまだ続いていることを暗示するかのように、冒頭の十字架を目指す伴奏が帰ってくる。

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