J.S.バッハ:カンタータ 第4番 ホ短調 "Christ lag in Todesbanden"

指揮・チェンバロ:ピーター=ヤン・ベルダー Pieter-Jan Belder
管弦楽: ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス Concentus Musicus Wien
独唱: Dorothee Mields, sopran  Terry Wey, alt  Charles Daniels, tenor  Harry van der Kamp, bas

  
『キリストは死の縄目につながれたり』(Christ lag in Todes Banden)BWV4は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハが1708年に作曲したと推測される、復活祭の礼拝で演奏する教会カンタータ。全8曲からなり、第1曲のシンフォニアを除く7曲全てが、マルティン・ルター作のコラールを編曲したコラール変奏曲である。
 
第1曲 シンフォニア Sinfonia 弦楽器・通奏低音、4/4拍子
コラール旋律をちりばめた14小節の重苦しい楽曲。BACHのアルファベット4字の序数を合計すると14となることから、数象徴を好む研究者は、バッハの受難観を織り込んでいると述べていた。全体的に第1ヴァイオリンが沈痛なメロディを奏で、ヴィオラも2部編成に増強したうえで重厚な伴奏を加えてある。
 
第2曲 「キリストは死の縄目につながれたり」(Christ lag in Todes Banden)
合唱・弦楽器・通奏低音、4/4拍子
イントロなしでソプラノの定旋律から合唱が始まる。下三声の伴奏は節ごとに大きく様相を変える。人の罪を背負って繋がれたイエスを悼む半音階降下に始まる。しかし、復活と新たな生命を授ける奇蹟を歌うや、突き上げる上昇音で復活を暗示する。復活を喜ぶ人々の歓呼は激しい走句のリレーとなり、それは伴奏楽器にも引き継がれる。感謝の言葉はテノールを起点とするポリフォニーで歌い継がれ、最終的にアレグロの「ハレルヤ頌」の応酬へと高まる。
イエス・キリストは、私の罪の身代わりとなられ、復活された。ハレルヤ!
 
第3曲 「死に打ち勝てる者絶えてなかりき」(Den Tod niemand zwingen kunnt)
ソプラノ・アルト・通奏低音、4/4拍子
下降音型を基本とするオスティナート伴奏に乗って、死を免れることができない人の罪を嘆く二重唱が続く。二声は時に不協和音をきしませながらも、諦観を暗示する物静かな歌を奏でていく。
 
第4曲 第3変奏「イエス・キリスト、神の御子」(Jesus Christus, Gottes Sohn)テノール・ヴァイオリン・通奏低音、4/4拍子
唐突に、伴奏が激しい上下動と走句をともなうイントロを奏で、死の恐怖と生命の戦いを暗示すると、生命の将軍たるイエスを讃えつつ、テノールが高らかに歌い出す。テノールのメロディラインはコラールとほぼ同じで、伴奏が変奏の対象となっている。伴奏が重奏で激しく軋むと、討ち取られた死の骸が静まり返った伴奏と長く伸ばされたテノールのメロディの前に晒される。曲を締めくくるハレルヤ頌は、勝利の凱歌の如く怒号の反復として表現されている。 イエス・キリストはこられ、私たちの身代わりとなって罪を除かれ、死の権威を奪われた。死の刺がなくなった。ハレルヤ!
第5曲 第4変奏「世にも奇しき戦起こりて」(Es war ein wunderlicher Krieg) 合唱・通奏低音 4/4拍子
テノールを先頭に、死と生命の戦いをカノンで表現する中を、アルトが定旋律をねじ込んでいく。半音階や唐突な突き上げる音が争いを暗示する。敗れ去った死への罵倒が方々から叩きつけられ、半音が交じり合うハレルヤ頌へなだれ込む。このコラールが変奏の中心軸となる。
 
第6曲 第5変奏「まことの過越の小羊あり」(Hier ist das rechte Osterlamm) バス・弦楽器・通奏低音、3/4拍子
まことの過ぎ越しの子羊である、イエス・キリストの犠牲が捧げられ、十字架の上に熱き愛でやかれる。節をさらに2分割し、バスのコラール旋律朗誦と弦楽器ユニゾンの旋律リフレインの反復で進行する。犠牲の羊その血を死に突きつけて撃退する時、初めてバスが単独で咆哮し、弦楽器が輝かしい走句で彩る。滅ぼすものが私たちを損なうことはできなくなった。締めくくりのハレルヤ頌は、バスの音域を超える低音や跳躍が多くあり、楽譜どおりに歌えず1オクターブ上げている録音も多数ある。
 
第7曲 第6変奏「かくて我ら尊き祭を言祝ぎ」(So feiern wir das hohe Fest) ソプラノ・テノール・通奏低音 4/4拍子
付点リズム(実際は三連符の変形)に支配され、死からの解放を喜ぶ。ソプラノが先行し、テノールが続行するカノンとなっている。節の末尾はソプラノとテノールがそろって三連符のメリスマを絡める。
 
第8曲 第7変奏「われら食らいて生命に歩まん」(Wir essen und leben wohl) 合唱・弦楽器・通奏低音 4/4拍子
簡潔な小コラール。私たちは聖餐にあずかり、いのちに進みます。過ぎ越しのまことの種入れぬパンであるイエス・キリストが与えられました。恵みのパンの中に古いパン種があってはなりません。私は生かされます。ハレルヤ!

バッハ:カンタータ 第4番 キリストは死の縄目につながれたり

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