J.S.バッハ:無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV 1013

フルート: アレクサンドラ・グロット Alexandra Grot

このパルティータは以下 四つの舞曲から構成される。
第1楽章 アルマンド イ短調、4分の4拍子。
第2楽章 クーラント イ短調、4分の3拍子。
第3楽章 サラバンド イ短調、4分の3拍子。
第4楽章 ブーレ・アングレーズ イ短調、4分の2拍子。

無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV1013は、ヨハン・セバスティアン・バッハが作曲した無伴奏フルートのための組曲。技術的に最高の要求を課せられる作品である。バッハの現存するフルートのためのソナタと比べても比較的初期に作曲されたと推定され、正確な作曲年代は不明であるが、恐らく1720年代初頭に作曲されたと考えられる。

バッハの次男カール・フィリップ・エマヌエル・バッハの同じくイ短調のソナタ、ゲオルク・フィリップ・テレマンの「12曲のファンタジー」とともに、18世紀に作られた無伴奏フルートのための独奏曲の頂に立つ作品である。形式は「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」や「無伴奏チェロ組曲」と同じく舞曲を組にした組曲形式によっている。バッハはこの作品で、第3楽章のサラバンドだけは、抒情的なカンタービレのメロディに全てを委ねている。しかし、それ以外の楽章では、フルートの音域ごとに変化する音色感を最大限に利用し、絶え間のない跳躍と微妙なアーティキュレーションを要求している。

息つぎのために本来ならば休止符がほどよい間隔にあるべきのはずが、この作品には、皮肉なことにアルマンドの冒頭以外に全く休止符がない。バッハの作曲のエッセンスを感じさせると同時に、第一級の名手だけが演奏できる難曲である。

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