J.S.バッハ:無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV 1013

フルート独奏: トンマーゾ・ベンチョリーニ Tommaso Benciolini
Live recording in Milan, Sala Verdi(ミラノ・ヴェルディ-ホール) on 21st December 2015

無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV1013は、J. S. バッハによるフルートのための組曲である。大バッハの次男 C. P. E. バッハのイ短調のソナタ、G. Ph. テレマンの「12曲のファンタジー」と共に、18世紀の無伴奏フルート独奏曲の最高傑作と言われる。

表題は20世紀の編集者によるものであり、バッハ自身のものではない。唯一現存する18世紀の写譜には、フランス語で Solo p[our une] flute traversiere par J. S. Bach (J. S. バッハによるフラウト・トラヴェルソのためのソロ)とのみ書かれている。古典組曲はアルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグという舞曲の組み合わせが普通で、バッハの時代にはサラバンドとジーグの間にいろいろな舞曲を加える拡大された様式が定着していた。当作品と似た構成を持つパルティータがないわけではないが(BWV1004)、最後にジーグがない以外はオーソドックスな組曲と言える。

当作品ではブレーが最後に置かれるが、バッハの組曲・パルティータではブレーが最後に置かれることまずなく、ジーグで終わるものが殆どである。したがって、バッハは本来予定していた最後のジーグを書かなかった(編曲しなかった)ものと考えられる。オーレル・ニコレは1970年代に、これを補うように、第5楽章として、無伴奏チェロ組曲第5番のジーグを編曲したもの(イ短調)を付け加えて演奏していたことがある。

作曲の時期・経緯については確かなことは分からない。バッハが1717年の秋に、ドレスデン宮廷のフランス人フルート奏者ビュファルダンの演奏に感銘を受け、その直後の1718年頃に彼のために作曲されたのではないか(表題がフランス語表記なのはそのためか)とする説、ブランデンブルク協奏曲第5番のフルート・パートよりもより複雑なテクニックを要する作品であることから、1723年以降の作であろうとする説などがある。

アルマンドとクーラントにブレス(息つぎ)箇所が極端に少ないこと、弦楽器・鍵盤楽器向きの分散和音の音型が多用されていることから、元来は他の楽器のために作曲されたのではないかと考えられる。演奏者は、これらの舞曲がアウフタクトであることを考慮して、ブレス箇所を考えなければならない。

4つの舞曲からなる。演奏時間は9~15分ほど。
 第1楽章 アルマンド Allemande イ短調、4分の4拍子。
 第2楽章 クーラント Corrente イ短調、4分の3拍子。
 第3楽章 サラバンド Sarabande イ短調、4分の3拍子。6:44
 第4楽章 ブーレ・アングレーズ Bourree Anglaise イ短調、4分の2拍子。

無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 Wikipedia

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