指揮者:ズービン・メータ Zubin Mehta

ズービン・メータ(Zubin Mehta, 1936年4月29日 - )は、インド出身のコントラバス奏者、指揮者。
ズービン・メータ

人物・来歴

ボンベイのゾロアスター教徒(パールシー)の家庭に生まれる。ペルシア系の祖先を持つ。母語はグジャラート語である。父メーリ・メータ(英語版)も指揮者であり、地元のボンベイ交響楽団の指揮者として活動した。

1954年にウィーン国立音楽大学に留学し、指揮法の名教師として名高いハンス・スワロフスキーに指揮を学ぶ。1956年の夏にはクラウディオ・アバド、ダニエル・バレンボイムとともにカルロ・ゼッキの指揮のクラスに参加した[2]。以来アバド、バレンボイムとは長きにわたる友人となった。

1958年にリヴァプールで行われた指揮者の国際コンクールで優勝し、一躍注目される。
1959年にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団を指揮してデビューし、大成功を収める。

1961年からモントリオール交響楽団の音楽監督、1962年からロサンジェルス・フィルハーモニックの音楽監督に就任し、それぞれ1967年と1978年まで在任した。ロサンジェルス辞任後、ニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督に就任し、1991年まで在任した。

1985年にはフィレンツェ五月音楽祭管弦楽団の首席指揮者に就任し、1996年には同歌劇場と日本公演を行った。
2004年1月よりミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団名誉指揮者。2006年6月までミュンヘンのバイエルン州立歌劇場音楽総監督。

2006年10月にバレンシアに開館された芸術科学都市のソフィア王妃芸術宮殿にて毎年開催される地中海音楽祭の総裁を務め、2008年~2009年にかけてラ・フラ・デルス・バウス演出、ワーグナーのニーベルングの指環を指揮する。

現代の巨匠

コンサートのみならず、オペラにおいても膨大なレパートリーを誇る。響きは豊潤、スケールは雄大であり、かつての巨匠指揮者を偲ばせる芸風である。1965年にメトロポリタン歌劇場でヴェルディの「アイーダ」、ザルツブルク音楽祭でモーツァルトの「後宮からの誘拐」を指揮し大成功を収めた。各地での野外オペラや、3大テナーといった大きなイベントをまとめ上げる手腕は、高く評価されている。2008年、第20回高松宮殿下記念世界文化賞の音楽部門を受賞。

ウィーン・フィルとの関係

これまで5度、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による新年恒例のニューイヤーコンサートの指揮台に立った(1990年、1995年、1998年、2007年、2015年)。
ニューイヤーコンサート登場5回は、ヴィリー・ボスコフスキー、クレメンス・クラウス、ロリン・マゼールに次ぐ第4位の多さであり、年替わり制となってから登場した指揮者としては最多である。ウィーン・フィルとの関係は深く、1997年にウィーン国立歌劇場名誉会員となり、2001年にウィーン・フィルの名誉団員、2007年にウィーン楽友協会名誉会員となった。ウィーン・フィルへの初登場は1962年のザルツブルク音楽祭である。

イスラエル・フィルとの関係

イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団では、1968年より音楽顧問、1977年より音楽監督、1981年より終身音楽監督に就任している。1991年に湾岸戦争が起きた時、ニューヨーク・フィルとの日程をすべてキャンセルして現地に飛び、連日イスラエル・フィルと無料演奏会を行なった。リハーサルなしで多くの交響曲を日替わりで演奏し、人々を鼓舞したという。なお、最後の曲目はグスタフ・マーラーの交響曲第2番『復活』だった。自身はユダヤ人ではないが、熱烈な親ユダヤ・親イスラエル主義者として知られる。イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団での長年の貢献により1991年にイスラエル賞特別賞を受賞した。2019年10月をもって、音楽監督を退任する意向を自身の公式サイトにて発表した。

日本との関係

以下は、公演に先立って発表されたコメント。
「今月のフィレンツェ歌劇場日本公演を無念にも途中で切り上げなければならなくなって以来、この偉大な国、日本を襲った未曾有の悲劇の後に、何かこの国の素晴らしい人々を助けられることがないかと考えておりました。 この度、厳しい苦境に立たされている多くの人々を勇気づける機会を与えてくださったNHK交響楽団、東京・春・音楽祭、そしてサントリーホールの皆さん、それにフィレンツェ歌劇場日本公演を主催したNBS(日本舞台芸術振興会)にも感謝したいと思います。」 ― 2011年3月27日 ズービン・メータ」

レコーディング

デッカ、CBSソニー、ワーナーなどに多くの録音を残している。ウィーン・フィルと録音したマーラーの「復活」や、ロサンジェルス・フィルハーモニックと録音したリヒャルト・シュトラウスの管弦楽曲、ストラヴィンスキーの「春の祭典」は、録音の良さもあいまって評価が高い。オペラ作品の録音も多く、いずれも高水準である。

私生活

最初の妻はカーメン・ラスキー。現在の妻は女優のナンシー・コヴァック(英語版)。

Wikipedia

inserted by FC2 system